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特定医療法人 富田病院

胃カメラ(上部消化管内視鏡)

肛門より内視鏡を入れて大腸の奥(大腸と小腸との境目)まで調べる検査です。
大腸カメラはまず便を大腸から取り除く必要があるため、検査の前に検査食(検査用の特別な食事)と下剤をお渡しします。
そのため胃カメラと違って病院に来てすぐに検査を始めるということはできません。
具体的には前日の昼と夜に検査食を食べて頂き、寝る前に下剤を、そして当日の朝からスポーツドリンクのような下剤を1.8L程2時間くらいかけて飲んで、何回も便を出して便が水のようになったら検査を開始します。
検査時間は15分から30分程度ですが、当院では軸保持短縮法という苦痛の少ない手法を導入しているため、「胃カメラより楽だった」と感想を述べる方もいらっしゃいます。
大腸は襞(ヒダ)が深いので一度の検査では80~90%程度しか観察できないため、見落しを防ぐためにも2~3年に一度検査を受けて頂くことをお勧めします。
大腸カメラは辛いのではと二の足を踏んでいらっしゃる方はまず便潜血(便に血が混じっているかどうか)の検査を受けて下さい。
最近の研究で「便潜血の検査が大腸癌による死亡率を20~30%減らすことが明らかになっているため、まず便潜血の検査を受けて陽性という結果が出たなら大腸カメラを受けるというのが主流となりつつあります。
(注:便に明らかに血やドロっとした粘液が混じっている場合は大腸カメラをすぐに受けて下さい。大腸癌などの命に関わる病気が隠れている可能性があります。) )

苦痛の少ない大腸カメラについて

「大腸カメラは胃カメラと同じくらい、又はそれ以上に辛いもの というイメージをお持ちの方が数多くいらっしゃると思います。 しかし現在では内視鏡と検査法の両方が飛躍的に進歩しており、そういったイメージは過去のものとなりつつあります。 なぜ検査を受ける必要があるのか、どうして辛いものでなくなったのかについてわかりやすいようにQ&Aの形で説明させて頂きます。

日本人の食事が西洋化(油ものが多くなったなど)したことにより、近年大腸癌が急激に増加しています。
厚生労働省の人口動態統計によると2010年の時点で女性の癌による死亡率では大腸癌が1位となっており、男性でも癌による死亡率で大腸癌は3位となっています。このため、今後癌による死亡を防ぐ上で大腸癌を予防し、早期に発見することが重要となります。
大腸癌は早期に発見できれば根治が十分に期待できる反面、ある程度の大きさになるまでは症状に乏しいため、大腸カメラ以外の検査では見つけることが困難です。他の検査(CT検査など)で発見できる段階では進行癌(命に関わる程進んだ癌)になっている可能性が非常に高いため、その前に大腸カメラを受ける必要があるのです。

20年ほど前の内視鏡は非常に太く、硬いものであったため、太い棒をそのまま肛門から押し込まれる患者様の苦痛は非常に辛いものでした。
現在では内視鏡の種類が増え、全体的に細く柔らかいものになったため、以前よりも楽に検査が受けられるようになりました。
また、解像度(画質)も飛躍的に向上しています。

元々大腸カメラは二人の医師で行うものでしたが、次第に一人で行うようになり、大腸の奥まで入れるやり方(挿入法)にも様々な新しい方法が考えだされました。大まかに挿入法を分けるとプッシュ法と軸保持短縮法の二つが代表的なものになります。
★プッシュ法
昔ながらの挿入法です。内視鏡をグイグイと大腸に押し込んでいき、ある程度まで進んだら内視鏡のねじれをとるといったものです。この方法では大腸が内視鏡により強く押し伸ばされるため患者様の苦痛が大きく、乱暴な操作を行えば大腸の壁に穴が開いてしまう危険性もあります。
☆軸保持短縮法
当院で採用している方法です。この方法では「内視鏡で大腸を伸ばさずにゆっくりと」進めていくため、患者様に与える負担は最小限に抑えられます。大腸は真っ直ぐな土管状ではなく、グネグネと蛇行しているため、そのまま内視鏡を入れていこうとするとどうしても大腸を伸ばしてしまいます。それを防ぐために編み出されたのがこの方法であり、「蛇行している大腸を直線的に(軸を保持しながら)アコーディオンをたたむ様に(短縮)して内視鏡を進める ことで非常に楽に検査を受けることが可能になります。この方法は全ての患者様に行えるわけではなく、一部の方はどうしてもプッシュ法で入れざるをえない場合があります。ですが、その場合でも軸保持短縮法をマスターしている医師は丁寧にゆっくりとあまり空気を入れずに内視鏡を操作するため、同じプッシュ法でも比較的安全に、楽な検査を行うことが可能になります。
経鼻内視鏡

病院やクリニックによっては経鼻内視鏡や軸保持短縮法を用いた大腸カメラを「無痛内視鏡」と謳っていることがあります。
確かに人によっては本当に全く苦痛無く検査を受けられる方もいますが、実際には異物(内視鏡)と空気を入れるので違和感やお腹の張りまで完全に消すことは難しいです(鎮静剤を使って完全に意識が無ければ話は別ですが)。しかし、苦痛そのものを最小限に抑えることで「これくらいならまた検査を受けてもいい」と思って頂けることが病気を早期に発見する上で一番大切なことだと考えます。

当院では軸保持短縮法をメインに苦痛の少ない方法で検査を行っているため、痛み止めの注射を必要とするケースはほとんどありません。
患者様が希望される場合は「ぼーっ」となる鎮静剤を使うことは可能ですが、あまり強い薬ではないため完全に意識が無くなるような状態にはなりません。
むしろ完全に意識が無くなると呼吸も弱くなったり、止まってしまうこともあるため、強い鎮静剤は使用しません。
鎮静剤を使った場合、お酒を飲んだのと同じような状態になるため、病院から帰る時は車を運転してはいけません。
交通機関を使うか、御家族に迎えに来て頂く必要があります。

自覚症状(血便、ドロッとした粘液、頑固な腹痛や下痢があるなど)がある場合は早めに病院で検査を受けて下さい。
特に症状が無い方はまず便潜血(便に血が混じっているかどうかを調べる検査)を受けて頂き、陽性(便に血が混じっている)の場合に大腸カメラを受けて頂くのが自然な流れです。
しかし、便潜血では大腸癌があっても30%の割合で陰性(便に血が混じっていない)という結果が出てしまうことがあるため、癌が増えてくる40才以上の方は便潜血の結果に関わらず2、3年おきに大腸カメラを受けて頂くことをお勧めします。

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